肝レンズ核変性症(ウィルソン病)は、先天性代謝異常によって無機銅が代謝されずに蓄積し、大脳のレンズ核の変性と共に肝硬変・角膜輪等を生ずる疾患である。脳や肝臓、腎臓、眼などが障害される。
常染色体劣性遺伝性の疾患であり、家族に同様の疾患をもつことが多い。
遺伝子診断により、本症ではATP7Bと呼ばれる遺伝子に異常があることが知られている。
小児期に肝障害が起こることにより発見されることが多い。進行すると肝硬変などを引き起こす。
眼症状として、黒目の周りに銅が沈着し、青緑色・黒緑褐色のカイザー・フライシャー角膜輪がみられる。
■血液検査
血清銅の低下:各組織に銅が沈着するために血中銅は低下する。
血清セルロプラスミン値の低下:銅の運搬体であるセルロプラスミンが消費されるためである。
■尿検査
尿中銅排泄の増加
■肝機能の低下
・AST、ALTの上昇
・血中ビリルビンの上昇
・血中アルブミンの低下
・プロトロンビン時間(PT)
・部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長
■D-ペニシラミン投与による重金属排泄促進
D-ペニシラミンは、血中で銅と結合し、銅を尿中へ排泄する。本症に対する第一選択薬ではあるが、ネフローゼ症候群や重症筋無力症、全身性エリテマトーデスなどの重篤な副作用が報告されている。
■塩酸トリエンチンによる銅排泄促進
塩酸トリエンチンは銅イオンと錯体を形成し、銅を尿中へ排泄する。D-ペニシラミンに比べて効果は弱いが、副作用が極めて少ないのがメリットである。
■亜鉛製剤による銅吸収阻害
排泄の促進作用はないので、治療の安定期または発症前に内服するのがよい。
■肝移植
肝硬変の進行が早い場合は肝移植も行うことがある。